浜松医科大学医学部看護学科を卒業、同大学医学系研究科博士課程形態系専攻を修了(博士(医学))。その後浜松医科大学医学部基礎看護学講座健康科学領域の助手、助教を経て、2020年4月より現職。
私は看護系大学出身で基礎医学系研究を行っており、解剖生理学などの専門基礎科目の教育に携わっております。看護教員となったことで好きなことを仕事にでき、大変幸運だと感じています。今回は、教育について思っていることを書いてみます。
私自身の学生時代を振り返ってみますと、期末試験が終われば授業内容を忘却し、各科目を有機的に統合できないまま臨地実習に臨み、当時の教員の先生方の手を煩わせたことと思います。実習でうまくできないのは基礎が弱いからではないか、基礎からしっかり学び直したいという思いから大学院へ進学し、解剖学教室で神経科学分野の研究を行いました。研究テーマだけでなく周辺領域も含めた勉強がその後の糧となっています。看護教員になり、看護技術の学内演習指導を分担するために改めてテキストを見直すと、解剖学や生理学が学部生時代よりも理解でき、アセスメントや看護技術に直結していることを実感しました。学生時代に実習担当の先生が求めていたことが少しは想像できるようになったように思います。そんな自分自身の反省から、解剖学・生理学を教える際には学生が看護専門科目で示されていることの根拠がスッと理解できる下地を少しでも多く作ることを目標にしています。いかに患者さんの生活や看護と関連付けられるか、それをどう整理して伝えられるかを日々模索しているところです。
大学教員としては、研究に興味を持つ学生が増え、将来の看護学研究者が増えるといいなと思っています。私の研究テーマは神経科学、循環薬理学、皮膚科学と分野は変遷しているものの、大学院時代から生化学的手法や組織学的手法などを用いた実験研究をしてきました。例え小さな実験条件であっても、私にとっての研究は予想して実行し結果が出たら考察して次はどうしようかと循環していくのが楽しいです。それは臨床でも同じかも知れません。実験で細かい作業をするのも好きです。研究の楽しさを共有できるような仲間が増えることを期待して、研究指導をしております。